ずっと、キミが好きでした。
「なんで明倫学園を受験しないの?桐生君なら余裕でしょ?」
「私にもわからないんだよね」
私自身、星ヶ崎の一般を受けないのなら、明倫学園の一般入試に挑むんだと思ってた。
でも、どうやら違ったみたい。
学校名は教えてくれなかったけど、れおは家から通える高校を受験するとのことだった。
家から通えるといっても、通学に片道1時間かかるらしい。
あんなに星ヶ崎に行きたがってたから不思議に思ったけど、れおが決めたことだから口出ししなかった。
よくわからないけど、何かがおかしい気がする。
何かって聞かれるとわからないけど、何かがおかしい。
直感?
胸騒ぎ?
受験に失敗して落ち込んでいるのかと思っていたけど、それもなんだか違うような気がして。
何か不吉なことが水面下で起こっているような、そんな言い知れぬ不安があった。
れおが私から離れて行くような、そんな気がしてならなかった。
「れーお!待って、一緒に帰ろう!」
教室を出て行こうとしたれおの背中に向かって、タックルをお見舞いする。
「おわっ、しず?」
「はーい、しずでーす!」
「何するんだよ、まったく」
「えへっ」
だって、れおに笑ってほしいんだもん。