ずっと、キミが好きでした。


え……?


もう、想いを聞いてやることが出来ない?


どうして……?


ムリに引き上げた口角の力が、スッと抜けていくのがわかった。


……笑えない。


こんな時に笑えるわけがない。


れおの言う通り、結局私は泣き虫だ。


目の前がボヤけて、れおの顔が涙で滲んで見えた。



「もう、しずの想いを……聞けないんだよ」


「な、に……それ。なんで……っ?どういうこと?」



涙が頬を流れ落ちた。


もう、私の想いは聞きたくないってこと?


嫌いになったの……?


れおの気持ちが……私から離れたの?


だから、私の想いを聞きたくないの?


聞けないの?


だったら!


私の気持ちは……どうなるの?


聞かせてって、言ったよね?



「私……何か、嫌われるようなことした?私のこと……嫌いになっちゃった……っ?」



泣いてこんなことを言ったら、うっとおしいと思われる。


余計に嫌われる。


わかってるのに、止められない。



「ごめん……しず。本当に……っごめん」


「……っ」



真っ赤なれおの目から、涙がこぼれ落ちた。


初めて見るれおの涙。


交通事故に遭って左耳が聞こえなくなった時でさえ泣かなかったあのれおが、肩を震わせながら泣いている。


それを見て、涙が止まらなかった。


胸が張り裂けそうで、息がうまく出来ない。


ねぇ、何があったの……?


何かあったんだよね?


泣くくらいだもん、よっぽどのことが。



れおは『ごめん』と繰り返すだけでそれ以上はなにも言ってくれず、しばらくすると私だけを残してこの場を去った。



なんで……こんなことになってしまったんだろう。


いつから、いつから私たちは変わってしまったんだろう。


……わからない。


だけどひとつだけわかったことがある。


れおはもう、私の存在を必要としていないということ。


< 124 / 251 >

この作品をシェア

pagetop