ずっと、キミが好きでした。


わからないままがんじがらめになって、なにも出来ずにいる。


時間が経てば経つほど距離は開く一方で、どれだけ頑張ってもその距離は埋められない。


夏が来て、秋が過ぎても、れおとの距離は埋められなくて、誰といても心が満たされることはなかった。



「しーってば、もったいない!なんで友田君を振っちゃったの?かなりのハイスペックイケメンだったのにー!」


「ちーはそればっかりだね。私は顔で選んだりしないもん」



1月の真冬。


3学期が始まってから1週間ほど経ったある日、隣のクラスの男子に呼び出されて告白された。


最初はビックリしてドキドキしたけど、別にその人のことが好きだったわけじゃない。


告白されたことに対してドキドキしただけ。



「だって、友田君だよ?相模君と友田君は、うちの学年の2大イケメンって言われてるじゃん!そんな人を振っちゃうなんて、もったいない!」


「もう、ちーはイケメンってそればっか。彼氏に怒られるよ?」



加川 千代(ちよ)で、ちー。


なんだかんだでちーとはすごく気が合って、今では一緒に買物に行ったり遊びに行ったりする仲になった。


気を遣わなくて済むから楽だし、何よりも思ったことをズバズバ言える。


ちーもちーで最初から自然体で接してくれていたから、私たちは長年連れ添った夫婦みたいに仲良くなった。



「しーって、ずっと彼氏作らないよね。なんで?」


「なんでって言われても……別に、彼氏なんかいらないし」



ちーにはれおのことを話していないから、なかなか彼氏を作らない私をいつも不思議がっている。


その度に曖昧に言葉を濁らせて来たけど、本当のことを話した方がいいのかもしれないと最近になって思い始めた。


このまま黙っているのも忍びないし、何よりいつかは絶対に話さなきゃいけないことだから。


でも、まだ覚悟が決まらない。


全部を話せるほど、受け入れられたわけでもない。


もう一年近く経つのに、私はまだ、あの日から一歩も動けずにいる。


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