ずっと、キミが好きでした。


「ちー、京太君、ごめん!確かめなきゃいけないことが出来たから、帰るね!」



2人に挨拶をしてから家をあとにした。


次第に駆け足になり、気付いたら全力疾走で駅までの道を走っていた。


どうして逃げてばかりいたんだろう。


もっと、もっと早く見抜けていたら……。


キミの苦しみに気付けたかもしれないのに。


どうして私は、肝心な時にそばにいてあげなかったんだろう。



電車を降りると辺りはすっかり夕焼け空に染まっていて、淡いピンク色とオレンジが重なった部分のグラデーションがすごく綺麗だった。


どれだけ息が苦しくても、私は全力で走り続けた。


目指すはひとつ。


大好きなキミに逢いに行く。



「はぁはぁ……っ、つ、着いた」



しばらく呼吸を整えたあと、迷うことなくインターホンを押した。



「はーい!あら、しずくちゃん?久しぶりねー!れおはまだ帰ってないんだけど、美味しいケーキがあるから一緒に食べよう。上がって上がって」



ガチャンとオートロックのキーが外される音がした。


相変わらず無邪気なれおのお母さんのサクさん。


れお……まだ、帰ってないんだ。


安心したような、ガッカリしたような。


あの後、大雅と落ち合って遊びにでも行ったのかな。


そんなことを考えながら、れおの家に久しぶりに足を踏み入れた。


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