ずっと、キミが好きでした。
「卒業してからパッタリしずくちゃんが来なくなって、あの子落ち込んでたから。よかったら、これを機にまた遊びに来てやってよ。れおはしずくちゃんのことが大好きみたいだから」
違うんです。
違うんだよ。
突き離したのは、れおの方。
だからね、れおが落ち込むはずがない。
私のことなんて忘れて、新しい生活を送ってるんだよ。
彼女だって、いるのかもしれない。
サクさんは色んなことを知らないから……だから、笑ってそんなことが言えるんだ。
「しずくちゃんの誕生日にあんなことになって、ツラいのはわかるけど。だけどね、聞こえなくなったことよりも、しずくちゃんに会えなくなったことの方がツラそうなんだよね」
え……?
私の、誕生日……?
聞こえなく……なった?
意味が、わからない……。
「星ヶ崎高校への進学を諦めたことよりも、しずくちゃんに会えない方がツラそうなの。れおの奴、気付いたらいつも窓から外を眺めてるの。きっと、しずくちゃんが来てくれるのを待ってたんだと思う」
「サクさん……待って。何を、言ってるの……?意味がわからないよ。聞こえなくなったって……どういうこと?」
まったく、全然、わけがわからないよ。
「やっぱり……。しずくちゃんには何も話さなかったのね、あの子」
サクさんは目を細めて笑ったけど、その笑顔はなんだか悲しげで。
見ていて胸が締め付けられた。
「れおはね……中3のしずくちゃんの誕生日に、両耳が完全に聞こえなくなったの……」
それからサクさんは、れおのことを全部話してくれた。
時々涙ぐみながらツラそうにしてたけど、最後には笑って「これからも、れおをよろしく」って頭を下げてくれたんだ。