ずっと、キミが好きでした。
男じゃない〜怜音side〜
『今日の放課後、話したいことがあるからくすのき公園に来い。お前が来るまで、ずっと待ってる』
昼休みに大雅からそんなメッセージが届いて、かなり戸惑った。
両耳が完全に聞こえなくなってからしずだけではなく、大雅や中学の時の友達とも距離を置くようになっていたからだ。
距離を置くようになった俺に対して、周りの奴らもどんどん関わりを持つことを避けるようになった。
ただ、大雅だけは高校が離れてからもメッセージを送って来たり、遊ぼうと誘って来たり普通に接して来た。
大雅は良い奴だ。
そんなの、親友の俺が一番よく知ってる。
ちょっとガキッぽいところもあるけど、最高に良い奴だ。
だからこそ、誰とも距離を置くようになった俺は戸惑った。
今さら会ったところで、何の用があるっていうんだよ。
両耳が完全に聞こえなくなったことは、誰にも言わなかった。
いや、言えなかった。
孤独や絶望の方が大きくて、自分でも受け入れられなかったことを、人に話すことなんて出来なかったんだ。
なんで俺なんだよ……っ。
補聴器からかろうじて聞こえていた唯一の音まで奪われて、この先何も聞こえない無音の世界で生きていかなきゃならないなんて。