ずっと、キミが好きでした。
そんなの、言えるわけないだろうが。
聞こえてるお前には、俺の苦しみや孤独を理解することは出来ない。
お前にはわからないよ、俺の気持ちなんて。
「なんで今さらそんなことを聞くんだよ?どうだっていいだろ、そんなこと。現にお前らは、幸せそうにやってるんだろ?だったら、いちいち俺に絡んで来るなよ」
お前らとはもう、住む世界が違うんだよ。
俺は……聞こえない世界にいるんだ。
どうやったって、お前には俺の気持ちはわからない。
だけど……どうして、こんなに悔しいんだ?
どうしてこんなに胸が痛いんだ。
気付くと爪が皮膚に食い込むほど、拳を思いっきり握り締めていた。
『ふざけんなよ!あいつがどれだけ苦しんでるか、どれだけお前のことを考えてるかわかってねーくせに。聞こえないのがなんだよ?そんぐらいで人生終わったって顔してんじゃねーよ!逆風に立ち向かっていくのが、本来のお前の姿なんじゃねーのかよ!』
そう書き殴った大雅は、俺の胸に勢いよくノートを押し付けた。
いつもは呆れるようなことばかりして俺を困らせていたくせに、まさか正論で諭される日が来るなんて。
なんだよ……マジで。
なんなんだよ。
なんで、こんなに目の前がボヤけるんだよ。
逆風に立ち向かっていくって、ムリだろ。
どうやって立ち向かえっていうんだよ。
他人事だと思って、好き放題言いやがって。
ノートを持つ手が震える。
ひとことでも何かを声にすると、目の奥から熱いものが流れ落ちそうだった。
だけどそれは俺だけではなく、大雅も同じだった。
目を真っ赤にさせて、唇を噛み締めながら俺をまっすぐに見つめている。
大雅は俺の手からノートをひったくると、またそこに文字を綴り出した。
『好きなんだろ?いい加減素直になれよ。これ以上、あいつを苦しめるな。ちゃんと向き合え。お前がいつまでもちんたらしてるなら、本気で落としにかかるからな』