ずっと、キミが好きでした。
思わずその顔に見入っていると、私と友田君の間に立ちはだかるようにして人が割り込んで来た。
見慣れた制服姿の愛しい人。
スカッシュ系の匂いがフワッと香って、胸がキュンと締め付けられる。
れおは黒のマフラーに顎先を埋めて、長い前髪の隙間から覗く鋭い瞳を友田君に向けている。
「俺の彼女に、なんか用?」
「えっ?彼女……?やっぱり、彼氏を待ってたんだ……?」
友田君は頬を引きつらせながら私を見た。
れおは隣で威嚇するように友田君を睨み付けている。
正直、温厚なれおがこんな風に誰かに敵意を向けるのは意外だった。
「えーっと、うん。そう、かな?ごめんね!」
「いや、うん……。彼氏がいるなら、仕方ないよな。じゃあ、また」
「うん……!バイバイ」
背を向けてよろよろと去って行く友田君の後ろ姿に、小さく手を振る。
すると、すかさずれおにその手を掴まれてしまった。
「なに呑気に手なんか振ってんだよ。誰だよ、あいつ」
「えーっと……友田君です」
「名前なんか聞いてないし。しずのなに?」
「うーんと、とも、だち……?」
疑問系で返すと、呆れたようにため息を吐かれた。
あれ?
なんだかご機嫌ナナメ?
いったい、どうしたんだろう。