ずっと、キミが好きでした。
第1章〜いつもそばに〜
流れ星の行方
中学3年の夏休み最終日。
私、月城 しずく(つきしろ)は幼なじみの家でダラダラ過ごしていた。
とは言っても、さっきまで家で勉強してたから1日中ダラダラしていたわけではない。
外の景色はすっかり、藍色に染まりつつあった。
「ふーん、それで?」
「だーかーらー、昨日シャイニーズジュニアのカズ君を見たんだって!すんごいカッコよかったんだから!」
「誰、カズ君って」
「シャイニーズジュニアだよ!シャイニーズ事務所に所属してるイケメンアイドル!」
「ふーん」
興奮冷めやらぬ私を明らかに興味がなさそうな目で見るのは、生まれた時からの幼なじみの桐生 怜音(きりゅう れおと)。
通称、れお。
私とれおのお父さんお母さんは、彼のことをそう呼んでいる。
温厚で何事にも冷静沈着で優しいれおだけど、興味のないことには一切関心を示さない。
私がいくら興奮気味に話したって、れおにはちっとも伝わらないのだ。
れおは私の顔をじっと凝視しているけど、これはきっと聞き流されて終わるパターン。
生まれた時から一緒にいるから、顔を見ただけでれおがどんなことを考えているのか、ある程度はわかってしまう。
それとは逆に、れおには私のことも全部知られているんだと思う。
たったひとつ、私の胸に秘められた想いを覗いて。
「しずって、シャイニーズジュニアのファンだっけ?」
「いや、ちがうけど」
問われてとっさに首を振った。
「ちがうのに、そこまで騒ぐ理由がわからない」
「だって、アイドルだよ!?誰が見たって騒ぐに決まってるよ」