ずっと、キミが好きでした。


「私のことは抜きにして、正直な気持ちを聞かせてよ。本当はカリフォルニアに行きたいんでしょ?」


「…………」


「れおの行きたい大学に行って?」


なにを言ってもれおは一点を見つめたまま、首を縦には振らなかった。


こうと決めたら譲らないれおらしいといえばそうだけど、今回ばかりは私も引くわけにはいかない。


本当は行きたいってこと、れおを見てればわかるから。



「カリフォルニアに行かないって言うなら……」


ごめんね。


こんなの、卑怯だってわかってる。


でも、こうするしかない。


「れおとは別れる」


ごめんね……。


こうでもしなきゃ、れおは行こうとしないでしょ?


「なん、だよ……それ」


「れお、私ね」


「しずは……俺と離れても平気なのかよ?」


「れお、お願い。聞いて」



平気じゃないよ。


平気じゃないけど、本音は奥にしまいこむ。


言えない。


言えるわけないよ、本当の気持ちなんて。


「1年でも10年でも……ずっと待ってる。だから、カリフォルニアに行って?」


れおが夢を叶えて帰って来るまで、ずっと待ってるから。

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