ずっと、キミが好きでした。


しばらく沈黙が続いた。


私の前髪をクシャッと撫でると、れおはフッと口元をゆるめた。


「立派な医者になれるまで、何年かかるかわかんないけどいいのかよ?」


切羽詰まったような切なげな声。


まだ迷っているといった感じ。


「当たり前だよ。ずっと……待ってる」


「夢を叶えられる保証なんてどこにもないし、ヘタすると帰って来られないかもしれないんだぞ?」


「それでも……待ってる」


「心変わりしないっていう保証は?」


れおの手が小さく震えている。


夢に向かって進むこと、本当はすっごく怖いんだね。


いつかは大人にならなきゃいけない、まだまだ子どもの私たち。


その一歩を……笑顔で応援したい。


私の未来に、キミがいればいいと思う。


ううん、キミなしの私の未来は想像出来ないから。


「保証は……ないけど。でも、れおへの想いは誰にも負けない。待つ自信はあるから」


形として残せるものはないけれど、私の愛は誰にも負けない。


「しずは言い出したら聞かないもんな」


観念したような、諦めにも似た声。


うんと大きく頷いて返事をした。


「……わかった。カリフォルニアに行く」


れおの瞳にはもう、迷いは一切見受けられない。


力強くて頼もしい私の大好きな顔だった。



「うん。応援してるね」


涙が出そうになるのを堪えて笑った。


れおが夢を叶える気になったのは嬉しいことなのに、何年も逢えなくなってしまうのはやっぱり寂しい。


でも、寂しいなんて言っちゃいけない。


笑ってバイバイするんだ。

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