ずっと、キミが好きでした。
「まったく、しずくは本当に世話が焼ける子だね」
「本当にねー!」
やっちゃんとちーが顔を見合わせて笑った。
「うん、ごめんね。私、ちょっと行って来る!」
「はいよー、今ならまだ家にいるんじゃない?夕方の便だって言ってたし」
やっちゃんはひらひらと私に手を振りながら、そう教えてくれた。
「うん、行って来る!」
「気を付けてね!しーはおっちょこちょいだから、焦って転ばないようにしなよー!」
「転ばないよ、失礼なっ!じゃあね!」
私はやっちゃんの家を飛び出して、れおの家に全速力で駆け出した。
れお。
れお……。
れお……!
れおが好き。
だから、笑顔で見送るよ。
安心して飛び立てるように笑って手を振る。
「はぁはぁ……っ、く、苦し」
足がもつれて転びそうになっても、こめかみから汗が流れ落ちても、れおの家を目指して一目散に駆け抜けた。
最後じゃない。
また逢える。
わかっているのに、涙が溢れる。
泣かない。
最後は笑って見送らなきゃ。
れおの家の近くまで来た時だった。
スーツケースを引っ張りながら、車に乗り込もうとするれおの姿が見えた。
「れ、お……っ!」
待って、まだ行かないで。
お願い。
あと、数百メートルの距離がもどかしい。
「れおー!」
トランクに荷物を積み込み、れおが後部座席のドアを開けた。
ま、待って……。
れお!
「れおっ!!」
お願いだから、気付いて。
後ろを振り返って!