ずっと、キミが好きでした。

星に願いを



「しずく先生、おならって手話でどうやるの?」


「えっ……?」



お、おなら?


授業中、からかうような目で私を見つめるその男の子。


レイ君は5歳の時に髄膜炎にかかって聴力を失い、現在公立のろう学校の小学2年生。


タジタジになる私を見て楽しんでいる、クラス1のイタズラッ子。



「えっと、おならはこうだよ」


「あはは、先生がおならしたー!おならしたー!」


「なっ」



レイ君は補聴器を付けたら私の声は何とか聞こえるようで、こんな風に私の反応を見ていつも楽しんでいる。


イタズラッ子な一面もあるけど、他の子には優しかったりと、可愛い一面もあったりするから憎めない。


26歳になった私は、大学を卒業してからろう学校の先生として公立の学校に勤務している。


教師になって4年目の冬。


担任を任されるようになってからというもの、大変なことの方が多くて日々メンタルをゴリゴリ削られるけど、すごくやりがいがあって自分に合っていると思う。



忙しくてなかなか地元に帰れないけど、みんな元気にしてるかな?


今朝の写真が頭に蘇って、急にみんなのことを思い出した。


< 240 / 251 >

この作品をシェア

pagetop