ずっと、キミが好きでした。
「まぁ、そう落ち込まずにさ。なるようにしかならないんだし、どっちかが素直になれば結果オーライだよ」
やっちゃんは意味深に微笑むと前に向き直った。
そして、のんきに鼻歌を歌いながらカバンの中身を取り出している。
いや、意味がわからないんですけど。
普通、好きな人に好きな人がいるってわかったら、落ち込むでしょーよ。
やっちゃんは恋をしたことがないから、わからないんだ。
うん、きっとそう。
「ねぇ、やっちゃんって好きな人いないでしょ?」
やっちゃんの背中に向かって声をかける。
そういえば、やっちゃんの恋バナって聞いたことがないかも。
「あたし?いるよー!」
「えっ!?ウソ!いるの?」
思わず大声を出してしまった。
私の声に反応して、周りのクラスメイトがチラチラこっちを振り返っている。
恥ずかしくなってうつむき、小さく咳払いをひとつした。
「そんなに驚くことないでしょ?あたしだって、好きな人くらいいるんだからね」
「どうして教えてくれなかったのー?全然知らなかった」
「聞かれなかったからね」
悪びれもなく、やっちゃんはシレッとそう言った。