ずっと、キミが好きでした。
バカだなんて、失礼しちゃう。
「ごめんねー!しずくはバカな上に鈍感だから、はっきり言ってあげなきゃわかんないの」
「やっちゃん!なんでやっちゃんが謝るの?しかも、バカで鈍感って……何気にひどいし」
いつの間にか私の隣にいたやっちゃんは、冗談っぽく笑って私の腕に自分の腕を絡めた。
私はそんなやっちゃんの腕をポカポカ叩く。
本当はそんな風に思ってたのね、やっちゃん。
「相模君がかわいそうで見てられなかったの。ほら、トイレ行こっ」
「大雅がかわいそうって……。それなら、私の方がかわいそうだよ」
「はいはい、いいから行くよ」
やっちゃんに引っ張られながら、あれよあれよという間に廊下へ出された。
「や、やっちゃん……トイレに行くんでしょ?もう通り過ぎちゃうよ?どこ行くの?」
「…………」
「やっちゃん?」
廊下の途中にあったトイレを過ぎて階段の踊り場まで来たところで、やっちゃんはやっと足を止めた。
なんだか、やっちゃんの様子がおかしい。
一体、どうしたというのだろう。
やっちゃん?
「受験が終わったらって言ったけど、今話すね」
「え?なにを?」
いきなりそんなことを言われても、意味がわからない。
「あたし、相模君のことが好きなの」
「え……?」
一瞬、なにを言われたのかわからなくてポカンとしてしまった。
やっちゃん、今、なんて?
「だから……!あたし、相模君が好きなんだって」
「ウ、ウソ……!え?相模って……大雅のこと?え?なんで?やっちゃん美人なのに、なんで……どうして、大雅なの?」
ありえないほどビックリしすぎて、テンパってやっちゃんの腕に指が食い込むほどキツく握ってしまった。
だって……ありえないでしょ。
やっちゃんが大雅を好きだなんて。
どう考えても、大人っぽくて美人のやっちゃんには、ガキっぽい大雅は似合わない。
「なんでてって言われても……あたしだってわかんないけど。でも、それでも好きなの」
「そ、そっか……」
いつもの強気な姿とは打って変わって、恥ずかしそうにモジモジしながらうつむくやっちゃん。
「そ、それでね……しずくが相模君と話してるの見たら妬けるっていうか、モヤモヤしちゃって。話すなとは言わないけど、あんまり見たくないっていうか」