ずっと、キミが好きでした。


休日ということもあって、電車の中はかなり空いていた。


暖房の効いた車内はすごく心地よくて、しばらく揺られているとウトウトとまぶたが重くなって来た。


ダメダメ、せっかくのデートなんだから寝たらもったいないよ。



「眠いならムリせず寝ていいから。着いたら起こすし」


「大丈夫……!」


「強がっても、どうせ寝るくせに」


「ね、寝ないもんっ!」



意地を張ってみたけれど、れおの言う通りそのすぐあとに夢の中へと吸い込まれていった。


ガタンゴトンと電車の走行音や揺れが遠くに感じて、体の力が抜けていく。


れおの隣は落ち着くというか、すごく安心する。



「しず、もう着くから起きて」


「んっ……」


「ほら、もうすぐ降りるから」


「うー……ん」



寝ぼけ眼のまま目を擦る。


視界がボヤけてモヤがかかっているみたい。


次第にはっきりして来ると、れおの整った顔が目の前に見えてドキッとした。


寝起きにれおの顔は反則だよ。


一気に眠気が覚めて、意識を取り戻した。



S駅はわりと大きめの駅で、駅隣接のショッピングセンターなんかもたくさんあって1日いても飽きないデートスポット。


シャーロット展のあと適当にランチして、その辺をブラブラしようということになった。



「すごかったよね、シャーロット展!特に一番最後の天使の絵!私、感動しちゃった」



大きいキャンバスに描かれた天使に惹きつけられて、10分くらいそこから動けなかった。


れおも天使の絵は気に入ったようで、2人して絵の前で呆然と立ち尽くしていた。


写メ禁止だったから撮影はしてないけど、色濃く頭の中に焼き付いてるから忘れることはないと思う。


それほど、感動的ないい絵だった。



「俺も、あの絵は好きだな」


「ペガサスは嫌いって言ってたもんね。私は好きだけど」


「ペガサスは色合いがパステルっぽいからな」



なんて言いながら、れおは水をひとくち含んだ。


オムライスが食べたいという私の希望で、ショッピングセンターの中にあるオムライス専門店に来ている。


さすがお昼時とあって、お店の中は満員だ。


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