ずっと、キミが好きでした。
小さい頃からずっと知ってるけど、ますます若返ったんじゃないかと思うほどキラキラと眩しく輝いている。
洒落気も何もないうちのお母さんとは大違いだよ。
「ごめん、サクさん。今からちょっと出かけるから」
「2人でどこ行くの?まさか、デート?」
「ふふ、ヒミツだよー!」
「えー、いいじゃん。教えてよ」
「恥ずかしいもん。サクさんはカナさんとデートしないの?」
れおのお母さんの名前はサクラで、サクさん。
お父さんはカナデでカナさん。
小さい頃からそう呼び慣れているから、まるで友達のような感覚。
自分の家にいる時間よりもれおの家にいる時間の方が長いから、気心が知れている。
「しず、早く行かないと」
思いの外サクさんとの会話が盛り上がり、とうとうれおが痺れを切らして私の腕を取った。
軽く引っ張られ、体がよろける。
だけど、れおが腕でしっかり支えてくれた。
「ごめんごめん、じゃあ気を付けてね。あんまり遅くならないように」
サクさんがれおに向かって優しく微笑む。
「わかってる」
れおは淡々とした声でそう言うと、サクさんからパッと顔を背けて再び私の腕を引っ張った。
親の前で素っ気ない態度を取るとは、れおもちゃんと思春期の男の子なんだなぁ。
大人びてるから完璧に見えるけど、そうじゃない。
なんだかそれが嬉しかった。