ずっと、キミが好きでした。


ほらね。


れおは、はっきりキッパリ断ってくれた。


逆ナンされたなんて微塵も思ってないだろうけど、雰囲気で何かを察したんだと思う。


ツレとデート中……デート。


なんか、響きがいいな。



「あは、は。なんか、ごめんね?耳が聞こえないなんて知らなかったからさっ!知ってたら、声かけてないし」



思わず頬がゆるみそうになった時、サエがあからさまに頬を引きつらせて申し訳なさそうに謝った。


そしてもう1人のギャルに「ほら、行くよ!なにボサッとしてんの」と言い、逃げるようにそそくさと去って行く。


私とれおは、そんな2人をポカンとしながら見つめていた。


な、なんだったんだろう。


かなり強引でしつこかったくせに、れおの耳が聞こえないと知った途端、逃げるように去って行くなんて。


れおの耳が、聞こえないから……?



「しず、ほら行こう」


「え?あ」



れおにダウンの裾を引っ張られて我に返った。



「誕生日プレゼント選んでる途中だっただろ」


「うん……そうだね」


「気に入ったの見つかった?」


「それは、まだ」


「俺も一緒に選ぶよ」


「ありがとう」



そのあと、れおと何事もなかったように雑貨を見て回った。


アクセサリーも置いてあって、自然とそこに目が行く。


ネックレスとピンキーリングがたくさんあった。


可愛いけど、可愛いけど!


彼氏でもないれおからはもらえないよね。


この先れおと両想いになれたら……いつか、ほしいな。


なんて。


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