ずっと、キミが好きでした。


それでも頭の中はれおのことでいっぱいで、必死だった。


どうしても、ガマン出来なかった。


許せなかった。



「れおは……れおはねぇ」


「しず……もう、いいから」



そっと隣に立ったれおが、私の手を優しくギュッと握った。


状況をわかっていないはずなのに、まるですべてをわかっているような表情で私を見下ろしている。


それは……とても優しい顔だった。


それを見て、胸の奥がギュッと締め付けられる。


れおは……れおは、きっと。



「俺は大丈夫だから」



れおはきっと、聞こえてないのにすべてをわかってる。


どうして私が彼女たちに歯向かって行ったのかを、ちゃんとわかってるんだ。


優しさの中に垣間見えた悲しげなれおの表情が、それを教えてくれた。


喉の奥がカーッと熱くなって、再びジワッと涙が溢れた。


許せないという思いももちろんあったけど、れおのそんな顔を見ていたくないという思いの方が強くて。


私の中の怒りが急速に落ち着いていった。



「れお……」



ごめんね。



「ほら、泣かないで。行こう」


「…………」



キミが寂しげに笑うから、私は泣く。


本当は泣きたいキミの代わりに、私が泣く。


れおに手を引っ張られながら、私は何度も何度も涙を拭った。



「しず、いい加減泣き止めって」


「だ、だっで……っ、ぐす」


「泣き虫だな、しずは」



どうして……そんなに寂しそうな顔で笑うの?


れお……。


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