ずっと、キミが好きでした。
いなくなっちゃうんじゃないかって、もう二度と逢えないんじゃないかって、なぜかそんなことが頭をよぎったから余計にホッとした。
「しず、それより……」
「え?あ」
れおの腕の中にいた女の子が、キツく目を閉じて小さく震えている。
そんな女の子を心配そうに見つめるれお。
れおは女の子を抱えたまま静かに起き上がると、「もう大丈夫だよ」と優しくその頭を撫でた。
「ミオちゃん!大丈夫?」
「ママ……!」
「ああ、よかった!無事で」
「ママー!」
れおの腕の中からスルリと抜け出した女の子は、勢いよくママの胸に飛び込んだ。
「ママ、怖かったよー」
女の子は小さな体で必死にママに抱きつく。
無事でよかった。
ホッとしすぎて肩の力が抜けた。
ふとれおを見ると、女の子を見て安心したように笑っていた。
「ご迷惑をおかけして、すみませんでした……!」
その場を離れようとすると、女の子のママの声が背中に向かって飛んで来た。
本当に申し訳なく思っているのか、深くお辞儀をしたまま顔を上げようとしない。
「大丈夫ですよ。それより、その子に怪我はなかったですか?」
「は、はい……おかげ様で」
女の子のママはおずおず顔を上げ、未だに申し訳なさそうな表情を浮かべている。
「お怪我はなかったですか?もしどこか痛いのであれば、病院にでも」
「本当に大丈夫です」
優しくにっこりれおが笑った。
ママはそこでようやくホッとしたのか、表情がゆるんだ。
「ほら、ミオ。お兄ちゃんに『ありがとう』は?」
恥ずかしがってママの後ろに隠れてしまったミオちゃんは、チラチラこっちを気にしている。