あの日の記憶。~青春の全て~
朝、目が覚めてスマホを見ると
咲葵からの着信があった。
「もしもし?咲葵?」
自分からかけ直すとワンコールで出た咲葵。
聞こえてくるのは大きい声だった。
『茜!なんで付き合わないの!?』
「なんでって、別に好きじゃないし。
相手は胸が好みだったらしいから。」
『男子なんてそんなもんでしょ!
茜、恋愛経験ないんだから、1回くらい付き合ってみなよ。
そしたらわかるって!恋する楽しさ』
咲葵は呑気だ。
何故私を分かってくれない。
『もう、後で学校で質問攻めにするから!じゃあね!』
一方的に切られる電話。
ため息をつく。
恋愛以外のことでは意気投合の私達だが、
恋愛の話になると何も合わない。
「...まったく、恋愛なんかしてたらつまんないっつーの」
これ以上、私の日常に顔を突っ込む男子はいらない。
でも...
「...あの人だけにはお礼しないと。」
私はあの彼が未だに忘れられない。