あの日の記憶。~青春の全て~
「...誰?」
「A組の菊智ってやつ。ほら、ガリ勉の」
「え、」
A組の菊智(キクチ)といえば、学年トップのガリ勉男子。
私、あの人と何も共通点無いのに…。
「とにかく!茜!今日告白されると思うから付き合っちゃいなよ!」
「はぁ!?なにテキトーなこと言ってんの!?」
タイミング悪くチャイムが鳴り響く。
「んじゃ!茜、ファイトだよ~」
「ちょ、まってよ!」
私の心臓に針をのめり込むような言葉。
“付き合っちゃいなよ”
...そんな簡単に付き合えるわけないでしょ。
~~
私の授業中の頭の中は“菊智”の事ばかりだった。
今は帰りのHR。私の頭は“告白される”という恐怖。
『はい、じゃあみんなさよなら~』
担任の声がちゃんと聞こえたのは、さよならの言葉だけ。
それが聞こえた直後のことだった。
『高月さん...いますか?』
菊智の声だ。