あの日の記憶。~青春の全て~
「あ、高月茜...です」
ああ、あんたがと呟く彼。
『あ、俺、菊智の幼馴染み。
あんたのことは、ちょっと前から聞いてたよ。』
私が顔を隠すように下を向いてると、
彼が私の顔を上げる。
『ふーん、結構可愛いじゃん』
「あ、あの。」
『...こんなに普通な日々送ってると
一度きりの高校生活、楽しめないよ?』
「...え?」
にこっと笑う彼が、私の頭を撫でる。
『菊智にいっとくから、安心しな。
もうあいつ、あんなことしてこないと思うよ』
幼馴染みの俺にしかできないからなって微笑む彼。
じゃあね、と手を振ると去っていく。
私はその姿を追いかける。
大きな屋上の扉を開けると、
もうそこには彼の姿はなかった。