世界を超えて。
男女1人ずつの名前しか書かれていない小さな紙を受け取り、開かずに皆の所に戻る。
いつの間にか言い争いは収まったようで、紙を見て顔をしかめる。
「せーので開く?」
精一杯いつも通りを心掛けて笑顔を向ける。
「いーよ、中村が開けて呼べばいいじゃん」
そんな声に応えるため、紙を開く。
「では、男子!内藤湧一郎!女子!中村智香!!」
名前を読み上げた途端、拍手があがる。
口々に応援の言葉をかけていく。
内藤君は重量上げの選手だ。
少し天然だか、素直で面白い。
一緒に行くのになんの不満もなかった。