世界を超えて。
「あーぁ、ずっとこうしていたいなぁ」
「ずっとこのままでも困るでしょ。留年すれば?」
増田君は笑いながらも、優しく話してくれる。こうやって、大好きな友達と好きな場所にずっといられたらいいのに。
ーカシャー
少し俯いてしまっていた私は、突然のシャッター音に顔を上げる。
増田君が端末のカメラをこちらに向けていた。
「え?写真撮ったの? 突然何。」
「これが、忘れ物。」
そう呟くように言うと、今撮った写真を見せるように画面を見せてきた。
「俺は中村さんのこの笑顔が好き」
増田君は顔を真っ赤に染め、小刻みに震えながら続ける。
「意思を強く持って、努力家な所に惹かれました。ずっとこうしていたいなら、俺と付き合ってくれませんか?この場所では無理かもだけど、いつでも話します。返事待ってます。」
増田君はそのまま教室から出ていってしまった。