世界を超えて。
その後、私達が学校で授業を受けていると、けたたましい音でアラームが鳴る。
〈 緊急事態発生、緊急事態発生、教員は全シャッターを閉め、生徒達を教室の中央に集めなさい。生徒達は外からの衝撃に耐えられるように何かに捕まりなさい。繰り返すー
教卓にあるスクリーンにも赤い文字が表示され、生徒達はいつもと変わらない様子で中央に集まり始める。
今年が2回目の担任になる若手の教員、河野はゆっくりとシャッターを閉めて回る。
「今の放送凄くない!?」
「中央に集まって何すんのかな」
この時、私達は危機感なんて持っていなかった。
だがその時、教室にある全てのスクリーンに予測される衝撃までのカウントダウンが表示された。
5...4...
数人の女子生徒の顔が強ばっていく。
残り3秒と言うところでシャッターを閉め終え、密閉された空間になった。
3...2...
1になると大きな爆発音、ガラスの割る音やシャッターの歪む音、日常生活では決して聞くことのない醜い音が鳴り響くと同時に大きな揺れに襲われる。
「でかい地震だね。予言かと思った」
萌々は呑気に笑っている。
「ガラスの音とか、うるさいし、ね。」
増田君は若干涙目にしながら笑う。
まるで二日前の事はなかったように。
揺れも音も全て収まり、人の声しかしなくなったのを確認し、立ち上がると教室は随分と変わっていた。
全てのシャッターが歪み、散らかっていた。
ただ歪むのではなく、外から物がぶつかったように。
教室の端末はすべて使えなくなっており、放送も途切れ途切れで何を言っているかわからない。
私は唖然とするしかなかった。