世界を超えて。

「揺れが大きかったから怪我人がいないか確認しまーす。中村さんは女子お願いします」

学級委員である大林君が何事も無かったような明るい声をかける。
私は学級委員として仕事をする為、出席番号順に声をかけていく。
怪我人が居ないことを確認し、河野先生に報告しようと辺りを見回すと教卓の裏で倒れいていた。

「先生っ!」
先生は気を失っているようだった。脈や心拍数を確認し机の上に寝かせる。
先生がこの状態では、この空間から脱出するのが難しい。

「智ちゃん、どうする?あんなに曲がってたらシャッター開かないんじゃない?閉じ込められた?」
萌々の発言を筆頭に、不安や恐怖に対して騒ぎ始める。

「どうなるか分からないけど、私は今出来ることをするべきだと思う。」

できるだけはっきりと全員に聞こえるように言う。

「みんなでここから出れるように頑張ってみよう。その方が早いと思うし、このクラスには優秀な学級委員もいるしやれるよ」

増田君が大きな声を上げてみんなを励ました。普段はこんな事しない増田君の言葉に数人は不安そうな顔をしていたが、多くの人がしっかりと答えてくれた。


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