世界を超えて。
「大きな脱出ゲームだね。」
そう言うだけ言い、萌々はいつもの真顔を崩さず、淡々と当たりに何かないか探し始める。
「じゃ、これからは数人に別れてクリア目指してみるー?」
大林くんの提案に皆は仲のいい人でグループを作っていく。
「脱出ゲーム開始で!」
この言葉を合図に各々が行動していく。
「中村さんはここで皆の情報を管理してて。その方が効率いいと思う。」
増田君の提案で私は教卓の所で皆の集めた情報をまとめていった。
「中村さんなら安心。早く出ようね。」
あまり見ない明るい笑顔と共に優しい言葉をかけてくれる。
あの告白に応えられそうもないのに。
悶々と気持ちが溜まっていく。
情報としては、シャッターの歪みは酷く、かなり力を入れないと動かない。電波はもちろん、電気関係は全て使えない。ネットに繋げない各々の端末だけ。河野先生は目を覚ます気配なし...
どれも不安になるような情報しかなかった。
そこから私達は適材適所を念頭に行動していく。
運動部員や体力に自信がある人を集めシャッターをこじ開けようとしたり、コンピュータに強い人達で色々と模索したり等、必死だった。
もう少しで教室のメイン端末が使えるようになる、と言ったところでシャッターを開けることに成功した。