世界を超えて。
外から自然が消えていた。
校庭の畑や、近くを流れていた川、近くの公園。建築物だけを残し、消えていた。
その惨状を見て、泣き出したり、イラついたり、固まってしまったり、様々な反応があったが誰も何も言わずに脱出する為に動き続けた。
メイン端末が起動し出来ることが増え、話
し声も聞こえてくるようになり、前向きな空気が流れた。
増田君は私に気を使ってか、前向きな言葉をかけてくれる。
私は曖昧にしか返事ができなかった。
シャッターを開けてから2、3時間経過した頃、どうしても開かなかった扉のシャッターが外側から開けられた。
そこには防護服に身を包んだ体育教師達がいた。
「全員、最低限の荷物を持って廊下に並べ!」
生徒達で喜んでいると教員は硬い表情のまま隣のクラスに走っていく。
後から来た学年主任の前田が河野の様子を見て苦い顔をした後、私と大林君の端末にデータを移した。
「河野先生は後で先生達で迎えに来るから、今は大林に送ったデータの通路で体育館に向かって。中村はそのデータを読んでクラスに伝えて。くれぐれも近道しようとするなよ。」
前田は早口で言うだけ言うと走って他の先生の後を追った。