・いつまでも、キミを想う
廊下側の壁に模造紙を広げる。
私よりも背の高い碧人は、必然と上段部分を押さえていた。
「涼香、画鋲」
「ちょっと待ってよ」
手にした画鋲ケースは、思いのほかガッチリと閉じられていて。
なかなか開かない。
私は廊下にしゃがみ込み、画鋲ケースと格闘する。
爪を入れ込んでみても、全然開かないし。
力ずくも、無理。
「開かないのか?」
格闘していた私に気づいた碧人の声が、頭上から降って来た。
見上げた私は、碧人に救いを求める。
貸してみろ。と碧人が左手を伸ばした時。
自由になった模造紙の左側が、ペロリと碧人の頭に被る。
「私、そっち押さえてるよ」
そう言って、手を伸ばした私もいけなかった。
お互いの伸ばした手が、偶然ぶつかり合い、画鋲ケースが宙を舞った。
「あっ」
「きゃっ」
身をかがめた私を庇う様に、碧人が私の背中を包み込んでいた。
画鋲ケースは、碧人の身体に当たり。
あれだけ苦戦していた箱が空き、中の画鋲が散らばった。
プラス。
大きな模造紙も。
碧人と私を隠す様に、ハラリと壁から離れ。
二人の上に降って来たのだ。