・いつまでも、キミを想う
気のせいだ。と頭を振り、私は雑念を追い払う。
ドア前に立っている男性は、それからずっと窓の外を眺めていて、その後ろ姿から表情などを確認することは出来なかった。
何駅か過ぎ、いつしか男性は電車を降りてしまう。
私は男性が電車にのている間、横目で男性の様子を眺めていただけだ。
ただひとつ気になったのは、男性の持っているバッグの取っ手部分にコロンとぶら下がっていた、小さな巾着袋。
可愛い小さな巾着袋をつけている男性のミスマッチさが引っ掛かった。
マスコットやストラップなど、可愛らしいものを持つ男性をおかしいとは思わない。
高校時代にも、彼女とお揃いで可愛いものを持っている男子なら見た事があるから。
ということは。
あの男性も、きっと素敵な恋人が居るんだろうな。
そうだよね。
見ず知らずの私のピンチにでさえ、躊躇いなく手を差し伸べてくれたような人だから、きっと優しい人なんだろうな。
そんな人なら、恋人が居ても不思議じゃない。
何時も彼女の事を気にかけ、守っている様な人なんだろうな。