・いつまでも、キミを想う


「どうぞ」

「……失礼します」


部屋に招き入れられ、私は窓際に置かれた椅子にバッグを置いた。

窓ガラスの夜景越しに、二階堂様の姿が映っている。

静かに私に近づいて来た二階堂様は、そっと私の肩に手を置いた。


「二階堂様、設計図御覧くださいますか?」


その場をごまかす様に、封筒から先程の書類等を取り出す。

床に膝をつき、書類をテーブルに広げながら二階堂様を見上げた。


一瞬の隙を突いたように、二階堂様の唇が私にキスを落とす。


「止めて下さい!」

「ここまで来て、やめるわけがないでしょう? あなただって、そのつもりでついて来たんでしょ?」

「そんなつもりでお部屋に来たわけじゃ……。私は仕事でっ」

「仕事としてなら、断ればよかったのに」


のこのこついて来るなんて。と鼻で笑われ、再び唇を奪われる。

その強引さは、さっきまでの紳士的な態度からは予想できなかった。

二階堂様の言う通り、こうなってしまったのは私にも落ち度がある。

泣こうが叫ぼうが、部屋について来たのは私。

助けを呼ぼうにも、防音設備ばっちりのホテルの一室では誰にも気づいてもらえないだろう。

ジタバタと抵抗しても無駄な事は、仕事の契約破棄にもつながりそうだと瞬時に判断できた。

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