・いつまでも、キミを想う
「あなたと初めて出会った時から、あなたを僕のものにしたいと思った。あなたも同じように感じていたんでしょ? だから、あなたは僕の依頼を受けた。違う?」
「ちが……」
確かに、初対面の二階堂様を素敵だと思った。
紳士的で、優しくて。
設計を進める際の相談時も、私の提案する意見に対し、熱心に耳を傾けてくれていた事に好感を覚えた。
けれど。
それは「好き」ではない。
仕事相手として「好きだな」と感じていただけ。
決して、恋人になりたいとか、抱かれてみたいと思ったわけじゃない。
「……私を抱いたら、今後の仕事も頂けるんですか?」
「あぁ、約束するよ。2号店も、3号店の設計も。僕はあなたに依頼する」
二階堂様は首筋に唇を這わせ、なぞるように私の肌に触れる。
ゾクゾクと、嫌な嫌悪感を抱きつつも、次の事に繋がるのならば。なんて邪な気持ちが芽生えかけていた私を理性が止めた。
「黒崎さん?」
「やめましょう。こんなことをして仕事をいただいても、嬉しくはありません」
繭の様に、恋がしたいと思っている。
誰かを好きになりたい。
恋人がほしいと思っているけれど。
私が望んでいるのは、こんな事じゃない。