・いつまでも、キミを想う
後日。
やはり二階堂様から御叱りの連絡が事務所に入り、私は担当を外された。
分かっていたし、覚悟はしていたけど。
「仕方ないよ。黒崎のせいだけじゃない。若いころは、よくある事だよ」
そう言ってくれる先輩は、経験者は語る的な言葉を吐く。
皆一度はぶち当たる壁なのかもしれない。
その壁を乗り越えられたら、一人前になれるのかな。
「二度と体験したくなかったら、結婚でもして早いトコ辞めなさい」
「そう言われても……」
相手が居ないんじゃあダメでしょ。
口ごもる私に、追い打ちをかける先輩は痛いところを突いて来た。
「黒崎ってさ、恋愛経験あんまりない?」
「うっ……。まぁ……えへへっ」
あやふやな誤魔化しに、先輩は核心を突く。
「もしかして、恋愛経験どころか男性経験もないとか?」
「うわぁぁっ。シーッ! 先輩、声大きすぎですよぉ」
「あぁ、ごめんね。そっか。ないのかぁ」
「27歳にもなってねぇ……」なんて、しみじみされてしまった。
そりゃあ、今までに付き合った人がいないわけじゃない。
ただ、その全てが相手からの告白ばかりで。
周囲に流されて付き合ったりしていたから、手を繋いでデートする清い交際で終わっていた。
その先に進む事も無く、というか。
頑張っても、キスどまりがいいところで。
求められても、その気になれなかったのだ。
どうしても運命の人だとは思えなかったから。