・いつまでも、キミを想う
7
最上階に着くと、彼は私の手を引いたまま会議室のドアを開けた。
「ちょっと、夕凪さん? 勝手に入っちゃダメですって……」
「俺が明日使う事になってる場所だから、いいんだよ」
私は彼に引き入れられ。真っ暗だった部屋に明かりがともる。
8畳くらいの会議室は、会議用の長テーブルとパイプ椅子が置かれていて。
そこには、懐かしの黒板が真っ白な壁に掛けられていた。
「今時珍しい。ホワイトボードとかじゃないんだぁ」
なんて、学生時代に使っていた黒板の懐かしさから、目の前の黒板の前に立つ。
そっと黒板に触れてみると、当時の黒板とは違うはずなのに、懐かしさがこみ上げてくるのは何故だろう。
黒板に置かれている黒板消しとチョーク。
私は、ふいに目に留まったピンクのチョークを手にした。
「……放課後とか、よく黒板に落書きしたなぁ」なんて独り言を呟いた私は、黒板に向かい相合傘を描く。
「ふふっ。懐かしいなぁ。夕凪さんの高校でもジンクスとかありませんでした?」
「あったよ」
チョークを片手に振り返った私のすぐ後ろに、彼は立っていた。
その距離の近さに、私は持っていたピンクのチョークを落としてしまい。
拾おうとしゃがみ込んだ私は、彼に優しく抱き締められた。