・いつまでも、キミを想う
鏡に映っている、この女は誰よ!
肌はボロボロで、髪はボサボサ。
口の端には、ヨダレらしき物が付いているし。
目ヤニは付いてるわ、なんじゃこりゃ状態。
着ていたTシャツを首元から覗き込む。
……胸無し。
こればっかりは、10年経っても成長無しですか。
目に留まったカレンダーが、ここは10年後だと教えている。
やっと私は自覚した。
鏡に映っているのは10年後の私。
今居るのは、10年後の私の部屋。
一階から、お母さんの怒鳴り声が聞こえてきた。
私は10年経っても、実家暮らしなんだ。
しかも、毎朝お母さんに起こされてるような、ぐうたら娘。
部屋から返事をし、私はクローゼットを開ける。
見覚えのない洋服ばかりが並んでいた。
胸元はドレープの利いたブラウスや、シフォンスカート。
かと思えば、パリッとした白シャツにタイトスカート等々。
いったい私は、どんな大人に成長を遂げたのだろう。
一先ず、目に留まった水色のシャツを着て、タイトパンツを履く。
髪を整え、軽くメイクを施すも、この出来上がりが正解なのか、正直わからない。
「ま、いっか」
誰に見られるわけでもないし、未来がどんな進化を遂げたのか、ちょっとだけ見物しに行こう。
私は、バッグに財布とスマートフォンを入れ、部屋を出て玄関へと向かった。