・いつまでも、キミを想う
駅に浮かう交差点で、赤信号のため立ち止まった私は、また周囲を見渡していた。
ビルに液晶ビジョンが付いていた場所には、同じくらいの大きな看板。
見知らぬ芸能人が商品PRのためにニッコリと笑っている。
同じ様に赤信号で待っている人達のファッションも。
どことなく、違っていて新鮮だ。
ふふっ。と笑う私の肩を、後ろから誰かに叩かれた。
振り返ると、見知らぬ男の人が私を見下ろしている。
「久しぶり」
ダレ?
不思議そうに男の人を見たけれど、私には全く見覚えのない人で。
でも、相手は私の事を知っているんだろうな。
だから気軽に肩を叩き、私に声をかけてきたんだから。
にしても、この男の人。
坊主頭に、両耳にはピアスをして。
白シャツに黒い革ジャンを羽織り、首からぶら下げているのはドクロのネックレス。
腕にはスタッズがたくさんついたブレスレット?
革パンはピッチピチに身体に張り付き、下半身のラインが分かるほど。
27歳の私は、こんな男の人とも面識があるのか。なんて、呑気に考えていた私の手首を、力強く男の人に掴まれた。
「やっと捕まえた。もう逃がさないからな」
「え? あの、ちょっ……」
逃がさない、とか言われても。
私には全く知らない人なんですけどー!