・いつまでも、キミを想う


駅に浮かう交差点で、赤信号のため立ち止まった私は、また周囲を見渡していた。


ビルに液晶ビジョンが付いていた場所には、同じくらいの大きな看板。

見知らぬ芸能人が商品PRのためにニッコリと笑っている。


同じ様に赤信号で待っている人達のファッションも。

どことなく、違っていて新鮮だ。


ふふっ。と笑う私の肩を、後ろから誰かに叩かれた。

振り返ると、見知らぬ男の人が私を見下ろしている。


「久しぶり」


ダレ?


不思議そうに男の人を見たけれど、私には全く見覚えのない人で。

でも、相手は私の事を知っているんだろうな。

だから気軽に肩を叩き、私に声をかけてきたんだから。


にしても、この男の人。

坊主頭に、両耳にはピアスをして。

白シャツに黒い革ジャンを羽織り、首からぶら下げているのはドクロのネックレス。

腕にはスタッズがたくさんついたブレスレット?

革パンはピッチピチに身体に張り付き、下半身のラインが分かるほど。


27歳の私は、こんな男の人とも面識があるのか。なんて、呑気に考えていた私の手首を、力強く男の人に掴まれた。


「やっと捕まえた。もう逃がさないからな」

「え? あの、ちょっ……」


逃がさない、とか言われても。

私には全く知らない人なんですけどー!


< 17 / 136 >

この作品をシェア

pagetop