・いつまでも、キミを想う
高校の入学式で、碧人と同じクラスになり。
幸運にも、受験した高校が同じだった事が嬉しかった。
学ランからブレザー姿に変わっていた碧人に会い、その大人っぽさに惹かれた。
中学の頃よりも背が伸びて。
小学校時代、碧人を見下ろしていた私が、碧人に見下ろされる立場に変わった。
そんな碧人は、自分の優しさとカッコよさに全く気付いていなくて。
優しくされて勘違いした女子から、告白される事が度々あった。
勘違いした女子の一人が、野々下繭だ。
彼女は、碧人と同じクラスになった時から。
周囲を巻き込み、碧人が好きだと言いふらしていた。
だから、今のクラスで。
繭以外の女子が碧人に好意を持っていたとしても、誰も言い出せない状態なのだ。
繭よりも前から、碧人が好きだった私でさえ。
幼馴染だというだけでも、敵意むき出しに攻撃を受けている。
で、運悪く繭の告白現場に出くわしてしまったから。
繭から恨まれるのは当たり前の状況だったのだ。
「……ここに居たのか」
思い出に浸っていた私は、ずっと碧人の席を眺めていた。
教室の入口に立っている碧人にも気づかずに。
そんな私を、いつから見ていたのか分からないが、碧人に声をかけられた私は、居るはずのない碧人の姿に驚いた。
「碧人。どうして? なんでここに居るの?」