・いつまでも、キミを想う
3
***



「涼香、涼香!」


耳元で私を呼んでいる声は……。


「涼香ってば!」


レイだ‼と気づき、閉じていた瞼をパチッと開ける。

目の前には、私の顔を近距離で覗き込むレイの顔が、ドアップで見えた。


「レ、レイ。私、10年後で碧人とっ」


10年後の私達が何をしたのか、レイに全てを話す。

やってはいない事を。

未来を変えてしまった事を話したのだ。


27歳の碧人と再会し、碧人と繭が付き合っている事実を知った。

その動揺から、碧人と一線を超してしまったと。


17歳の私には、後悔しか残らない。

27歳の私の身体を借りて、中途半端に碧人に抱かれ。

碧人の気持ちを知り、碧人と一緒に居たいと願ってしまった。

不覚にも、このまま27歳の私でいたいなんて思ってしまったのだ。


しかし、レイは微笑みながら首を振った。


「レイ?」

「今、涼香が覗いた10年後の世界は、半分幻想。そうね、今の涼香の願望を半分だけ映像化したまでの事かな」


10年後を覗いた事に変わりはない。

ただし、今見ていたことは半分だけ本当の現実だと言う。


「未来には未だ、希望が残っている。これからの涼香が、どういう行動を取るかによって10年後も変わるのよ」


レイの言葉は、私の心に染みる。

そう。

ただ、何も言わず黙って望んでいるだけじゃ、何も変わらないんだ。

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