・いつまでも、キミを想う
……だったら。

こんな小細工をしなくても、素直に気持ちをぶつけた方がいいに決まってる。


繭に対しても失礼だ。

自分の気持ちに正直に。

碧人に思いを伝えた繭の方が、はるかに偉い。


そんな繭の気持ちを、正面から聞いていた碧人だって。

繭の真剣な思いが伝ったから、逃げずに繭の言葉を聞いていたんだ。




「まだ残ってたのか?」


背中越しに声をかけられ、黒板に向かい書き記していた文字が、あと少しで書き終わるというところだったのに。

ビクッと肩を上げ驚く私は。


同時に、動いていた手もピタッと止まる。


「涼香?」


私を呼ぶ声に応え、ゆっくりと振り返る。


まさか。

まさかとは思うけど……。


聞き覚えのある声。聞き覚えのある言葉。

一度、既に体験している様な感覚。


シチュエーションが少し違っているけれど、何だか不思議な気持ちになっている。


今の私は、何時の17歳なんだろう。


「碧……人」


私は、とっさに黒板に書いていた文字を身体で隠した。

背中には願い事。

目の前には、碧人がいる。


もしも願い事を見られたりしたら、どうなるんだっけ?


周囲を見渡すと、既に碧人の気配に気づいたレイは姿を消している様だった。


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