・いつまでも、キミを想う
「やった! 涼香ちゃん、ありがとう」


目の前の繭と女子達は「よかったね」なんて手を取り合い喜んでいるけれど。

繭が本当に、心から言っているのかは怪しいところだ。


無意識に碧人の姿を探す。

教室の一番前で、男子達と黒板に落書きをしている碧人の姿を見つけた。

落書きをしているだけの姿にさえ、私は碧人から目が離せない。

どんなに瞬きをしても、視線は碧人を追うばかり。


落書きを書いては、男子達と笑い合う碧人。

ゲラゲラと大笑いをしながら、黒板消しで落書きを消している碧人。

そんな碧人を見つめてしまっている私は、繭の告白に立ち会う事になってしまった。


もう、碧人を諦める事さえ出来ないと自覚している私なのに。


そんな事を胸に秘めたまま、碧人を見つめる私。

隣りには、碧人を好きな繭。


不意に、碧人がこちらに視線を移した。

喜びを隠せずに、はしゃいでいる繭を碧人が見ている。


そんな碧人を見るだけで、胸が苦しくなってしまう私は、かなりの重症みたい。

レイの言う通りかもしれないな。


チョークを使う日が。

今度こそ、本気の願い事を書かなければならなくなる。

そんな日が確実に近づいているんだ、と思った。


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