・いつまでも、キミを想う
「やっぱりね。私、こういう勘って結構当たる方なんだ。涼香ちゃんって、意地悪だよね。私が夕凪君の事を好きなのを知ってるくせに、幼馴染ってだけで夕凪君にベタベタしてさ。それって、私に見せつけるための嫌がらせだったんでしょ?」
「私、そんな事したこと無いよ」
それを言うなら、あんたの方が。
繭の方が、私の前で碧人にベタベタしたりして、周囲を巻き込んで。
碧人に纏わりついていたんじゃない。
誤解もいいとこだ。
そんな繭を前に、私は何も出来なかった事を悔やんでいるんだから。
「今日こそハッキリさせよう。夕凪君が私を選んだら、この場でスッパリ彼の事は諦めてよね!」
「ま……」
「話ってなに?」
繭に反論しかけた私の声を遮り、碧人が屋上に現れたのだ。
振り向けば、碧人は私のすぐ後ろまで近づいて来ていて。
逃げ場を失った私は、目の前に立つ繭と後ろから迫り来る碧人に挟まれた状態になってしまった。
「なんで黒崎がここに居るんだよ。俺を呼び出したのは、野々下だろ?」
「うん、そうよ。夕凪君に話があって」
さっきまでの形相は何処へやら。
繭の表情は、一気に恋する乙女に変わっている。
「夕凪君を呼び出した事を知った涼香ちゃんが、勝手についてきちゃったの。迷惑だよねぇ」と口にした繭は、私を押しのけ碧人の前に立った。