・いつまでも、キミを想う

私が話し出す前に、レイは何かを感づいているような口調で私を指さして訊ねたのだ。


「実はさ……」


口を切って話し出した碧人は、静かに事の経緯をレイに話した。

関係した自分たちの記憶を消さずに済む方法を、ここに居るレイなら知っているはずだと。

その方法を教えてもらいに来たのだと告げた。


「……そう」


ふーっ。と一つ息を吐き、レイは困った顔をした。


「方法が無いわけじゃないの。ただ……」

「ただ、なに?」


ただ、関係したお互いの記憶が消えないわけではなく。

どちらか片方のみの記憶しか残らないというのだ。


レイが取り出した、七色の輝くチョーク。

それは紛れもなく「私の」チョークなのだろう。

でも、私は既に一本手にしている。


「レイ、そのチョーク。あの時、碧人が私の無くしたチョークを届けてくれなかったら、レイはそのチョークを私に使わせてくれるはずだったんだよね? って事は、そのチョークは私の……」


言いかけた私に、レイは首を振った。

確かに使わせてくれようとしていたチョークと同じものだ。

なのに、それは「私の」チョークではないという。

という事は……。
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