・いつまでも、キミを想う
「レイ、オークは?」
「……居ないわ」
17歳の碧人は、オークと話し合い。
碧人がチョークを使い切り、オークは眠りについたのだという。
そして、目覚めたオークは。
新たにチョークを渡す相手に出逢っていると。
「そっか。アイツらしいな」
「だから、チョークを使い切った碧人の記憶も、オークの記憶も消えているの。27歳の碧人が、オークの名を口にするのもおかしいし、私が見えているのもおかしい事なの。27歳の碧人に私が見えているという事は、中身が17歳の碧人だという事なの」
本来なら、記憶の消えている27歳の碧人にレイの姿が見える事もない。
オークの名を思い出すはずもない。
だから、この教室に現れる事もないはずなのだと。
「碧人の気持ちが涼香に届いた。オークの任務は、その時に終了したのよ。碧人が持っているチョークを使い切るのは時間の問題なの」
碧人の握りしめていたチョークを確認したレイは、静かに言った。
「そうね、後一回くらい使えるかしら」
短く、小さくなっていた碧人のチョーク。
これを使って、10年後に来た私達。
「早く帰りなさい。碧人のチョークを使い切ってしまったら、本当に戻れなくなるわよ」