眠りの森のシンデレラ

「お前! 本当に悪知恵……もとい、策士だな」
「何! 何? どういうこと?」

裕樹の問いに則武が悪い笑みを浮かべる。

「ネタバレはイベントで! だよな?」
「エッ、もしかしたら、全てイベントのための序曲にでもするつもり?」

裕樹は、それは琶子ちゃんに失礼だ! と大反対する。

「裕樹、お前は少し勘違いをしている。琶子を利用するつもりはない」
「それならいいけど……」
「アー! じゃ何だって言うんだ!」

則武は血相を変え、慌てて聞く。

「俺は琶子と結婚する。よってスキャンダルの揉み消しも必要ない」
「ハァ!」

則武と裕樹の声が綺麗にハモル。

「お前、トチ狂ったか! 今、自分が何言ったか分かっているのか?」
「スキャンダル一つで、いきなり何でそうなるの?」
「本当、これだから恋愛初心者は困るんだ! 冷静になれ!」
「冷静になるのはお前たちだ。俺は平静だ」

訳が分からん! と則武は首を振り、頭が痛い! と裕樹は米神をグリグリする。

「とにかくだ、お前の結婚は横に置いて……」
「何故、横に置くのだ。正面に置け」
「ああもう! こういう時、天然は止めろ、話の腰を折るな!」

則武がイライラと吠える。

< 122 / 282 >

この作品をシェア

pagetop