眠りの森のシンデレラ
入ってきたのは三人の王子……もとい、クローバーの面々。
咄嗟に立ち上がる眠りの森の住人達。
「お邪魔します」と則武は紳士のポーズでお辞儀をする。
「こんばんは、ウワッ、凄いご馳走!」と裕樹は丸テーブルに駆け寄る。
「変わりないか?」と清は一直線に琶子に向かい、抱き締め、頬にキスをする。
清の行動に一同固まる。
パチクリと目を見開いていた桃花が最初に口を開く。
「登麻里ちゃん、こういうの、いきなりやってもいいの?」
ゴクンと生唾を飲み込み、「そうね、羨ましい」と呟き、あらやだ、と我に返る。
「あっあら、そうね、当人同士が納得しているのなら……」
「納得していません!」
即座に琶子は清の胸板をグッと押す。
「ねぇ、榊原氏の印象が違うんだけど」
「この間言ったでしょう、清は天然だって」
裕樹の耳打ちに、嗚呼、と薫は頷く。
「榊原さん! 全く、毎度毎度、面白いですか? こんなことをして」
「ああ、とても」
琶子の怒りモードに、したり顔で答える清。
「なぁ~んだ! 貴方たちのスキンシップはお子ちゃまのお遊びと同じね」
甘いムードの一欠けらも無い二人を見て、薫は、まっ、これなら、妊娠の心配もないわね、と安堵する。
そして、ここにもう一人、意外な行動を取る人物が……。
「で、桔梗、貴方は何故、倒れているの?」
登麻里はテーブルに突っ伏し、顔を隠す桔梗に声を掛ける。