眠りの森のシンデレラ
裕樹が帰った後、嫉妬まみれの清は琶子にヘビーなキスをし、続けて二発殴られた。
「本当、榊原さんって日本人ですか! すぐに抱き着いたり、キ……キスしたり」
琶子から怒りと羞恥心で怒鳴られたとしても、清は琶子に対して愛おしさが募っていくばかりだ。
二度と恋などしない、と恋心を封印した筈だが……完璧に呪縛は解かれた。
清のまっさらな心に、琶子への想いは膨らんでいく。
そして思う。
今度は俺がお前の恐怖を拭い去ってやる。そして、完全に俺のものにする……と。
「本当、お前は何も分かっていないな。好きな女に、ハグやキスしたいと思うのは当然だ。まぁ、時期が来ればその先もあるが……」
あるが……と琶子を見る眼が、怪しく光る。
「ちょ、ちょっと! 榊原さん、だんだん大胆になっていますが、スローペースで、と私は言いましたよねっ!」
確認を取るように琶子が言う。
「だから、ゆっくり進んでいるだろう。まっ、お前とは次元が違うから、合わせてはやれないがな」