眠りの森のシンデレラ
清はクッと毒のある笑みを浮かべる。
次元ってなんだ、と琶子は清を見る。その妖艶な笑みに琶子は飲まれそうになり、慌てて言葉を発する。
「と、取り敢えずですね、行動に気を付けて下さい!」
清はアハハと大笑いし、「お前、本当に可愛いな」と琶子の髪をクシャと撫で、機嫌よく言う。
「薫からパーティーの招待状を貰った。明日は桃花プレゼンツ、クリスマス会 IN 眠りの森だろ。俺も参加する」
「エッ、大丈夫なんですか? 世界中から招待状きていませんでした?」
この間、榊原邸に伺った折り見ましたよ、と琶子はデスクに山積みとなったインビテーションカードを思い浮かべる。
「ああ、あれか、祖父のだけ出ればいい。といっても祖父の開催するパーティーは二十三日を境に前後三日、計一週間続くから、その内数日参加すればいい」
一週間もパーティーが続くって……何それ?
流石、市之助氏、と琶子は呆れるやら感心するやら、お金持ちの世界は想像を絶する、と次回作のヒントに、一応記憶に留める。
「じゃあ、今日はこのまま、こちらにお泊りですか?」
「ん? 何だ、嬉しいのか? お前、一緒に寝たいのか?」
琶子が真っ赤になるのを見ながら、本当にコイツ、からかいがある。飽きない奴だ、と清はその反応に満足する。
「何言ってるんですか! そうじゃなく、則武さんもいらっしゃるから、お夕飯とかお風呂とか……いろいろ準備をですね……」