眠りの森のシンデレラ
清と則武の作った肉団子は大好評だった。
桃花が「美味しい!」と満面の笑みを浮かべると、則武は泣きそうなぐらい顔をクチャクチャにして喜んだ。
すっかり鍋の中身もなくなり、そろそろ後片付けを始めようか、と薫が思い始めた頃、桔梗がキッチンに戻って来た。
「桃花、眠った?」
登麻里が聞く。
カウンターでワインを飲んでいた則武は腰を上げ、桔梗の側に寄る。
「ええ、お腹もいっぱいで、ゲームも楽しかったみたい。ぐっすり」
「なぁ、もう観念しろよ。お前がまだ俺のこと好きだって、バレバレだぞ」
桔梗の肩に手を回し、その頬にチュッとキスをする。
「この酔っ払い」と桔梗は則武の腕をパンと払い、琶子の前に腰を下ろす。
琶子はそれを見ながら、御曹司はキス魔なの? と隣の清を見る。
清は琶子の視線を感じ、何だ? と琶子を見返す。
「全く、いつまで経っても子供なんだから! 六年という歳月はそんな簡単に埋められないの」
おや? あれ? とカウンター席に座る登麻里と薫は目配せし合いヒソヒソ話をする。
「ねぇ、態度が緩和されていない?」
「そうね、言葉の調子も、微妙に優し気?」
もしかしたら……と二人はニヤニヤする。
「桃花には、まだ父親と名乗らないでね、絶対よ!」
「桔梗さん」
登麻里と薫が、話の核心に触れたくてジリジリしていると、呆気らかんと琶子が口を開く。
「高徳寺さんと仲直りされたのですか? 合浦珠還ですか? 覆水盆に返ったのですか? それなら嬉しいです。桃花ちゃんのためにも」
おっと、直球! 登麻里と薫は息を飲み桔梗の返事を待つ。
だが、答えたのは桔梗ではなく則武だった。