眠りの森のシンデレラ
「則武のゴシップは全てビジネス絡みだ」
その言葉に一番ビックリしたのは当事者の則武だった。
「おっ、お前、知っていたのか?」
「当たり前だろ、何年の付き合いだと思っているのだ。お前がどんな女にも本気モードじゃなかったことぐらい知っていたさ。裕樹もだろ」
則武は思わず清の手を取り、「流石、親友!」とギュッと握り締める。が、清はパチンとその手を払う。
「馬鹿か! 琶子以外の奴に手を握られても嬉しくない。握る相手が違うだろ」
それもそうだ、と則武は桔梗の手を取り握り締める。
「俺の心はズットお前にあった。だから、もう離れないでくれ。でないと俺、一生独身だぞ」
「則武……」
涙声の桔梗だが、やはり素直になれないのか、則武に包まれた手を困惑気に見つめる。
「桃花には、俺からちゃんと言う。きっと分かってくれる、なっ、だから、俺と結婚してくれ。三人で家族に……」
「おじちゃんがパパ?」
則武のプロポーズめいた言葉の途中に、幼い声が割って入る。